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ホンジュラスの協同組合COCAFCAL

ホンジュラスの協同組合COCAFCAL

―有機コーヒーの生産からコミュニティ支援へー

 2014年12月

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COCAFCALの組合員達、Bienvenidosとはスペイン語で「ようこそ」の意味

南米のホンジュラスにある COCAFCAL (Cooperativa Cafetalera Capucas Ltda) は、国内外の市場向けに有機コーヒーを生産している協同組合です。

この協同組合の始まりは、1885年にさかのぼります。組合創始者の義父であるアタナシオ・ロメロ氏は、ホンジュラス西部のラ・カプカス村の広大な土地を購入し、自家消費用のコーヒーの栽培を始めました。その土地ではロメロ一家がコーヒーの栽培を続けていましたが、1960年頃に同氏の息子や一族の人々は、高い品質のコーヒーを栽培しようとコスタリカに栽培方法を学びに行きました。彼らはそこでCaturraというコーヒーの種を100ポンド仕入れ持って帰りました。木は普通より小さいのですが、収穫率の高い種です。彼はコーヒーの苗床を作り、Caturra コーヒーの栽培を始めました。 初めは周囲から相手にされませんでしたが、収穫されたコーヒーの品質の高さに皆驚きました。彼らはこのコーヒー種の知識を他の人々にも伝え、Caturraコーヒーはホンジュラスの高品質コーヒーの先駆的な存在になりました。

そして、1999年、ロメロ氏の娘婿のホセ・インテリアノ氏はラ・カプカス村で小さなコーヒー農園を営んでいる55人の生産者とCOCAFCAL を立ち上げました。現在は800人以上の生産者がいます。COCAFCALが生産、販売するアラビカコーヒーは、有機やフェアートレードや日本のJASのほかに次のような認証も得た、折り紙つきの高品質のものです。

  • レインフォレスト認証: 持続可能な栽培をしている
  • CAFEプラクティス認証: 適正な価格で生産者から購入している
  • UTZ認証: 社会と環境に責任を持った生産・加工・流通をしている
  • バードフレンドリー認証: 鳥たちの休息地を保全することを目的に、シェードツリー(農園に木陰を作り出す木々)」の下で栽培された有機コーヒーである

COCAFCAL は、組合員に豆の湿式粉砕と乾燥のサービスを提供し、認証を得るための対応や栽培技術の訓練なども行っています。また「コーヒーさび病」などのコーヒーの木に発生する病気の研究所も開設しました。

生産者

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1999年にCOCAFCALを設立した55人の農民がコーヒーを栽培しているラ・カプカス村は、ホンジュラスの首都のテグシガルパの西約158kmに位置し、パナマからメキシコ南部を結ぶ「メソアメリカ生物回廊」を排出ガスなどから守るバッファーゾーン内の「セラケ国立公園」の森の中にあります。カプカスという名前は、この一帯でよく見られるヤシの木の一種のカプカから来ています。この木の葉は家の屋根によく使われます。

COCAFCAL の会員はその後に順調に拡大し、2014年は835人になりました。組合員は、ラ・カプカス村のあるサンペドロを含む12の地域に住んでいます。そして、この組合を「カプカス」という名前で呼んでいます。

コミュニティ・プロジェクト

COCAFCALは、コーヒーの生産・販売だけでなく、次のような様々なコミュニティ・プロジェクトも行っています。

<子どもと若者>

子どもや若者が教育を受ける環境は良くありません。親にとって教育費は高すぎるし、教育の質も効率も良いと言えません。しかし、子ども達は未来を担う大切な存在です。そこで、COCAFCALは地域の学校の質を向上させるための投資を行っています。

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また、全ての若者たちが勉強に興味を持っている訳ではありません。例えば農業で成功した親の子どもたちの多くは勉強をするよりも、コーヒー農園で働く方を選びます。それでも、勉強をしたいと思えば、COCAFCAL協同組合からの支援を受けることができ、これまで6人が大学進学のための奨学金を受けました。また、協同組合で働きたいという希望があれば、そのための訓練も受けられます。

<コンピューター室>

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COCAFCALは、海上コンテナーを改造してコンピューター室を作りました。8台のコンピューターが設置されています。コンピューターの先生はMiriam Seiger (27)で、大人と子どもを6グループに分けて教えています。これにかかる費用は協同組合がコーヒーのフェアトレードで得た資金から支払っています。このコンピューター室は、COCAFCALの組合員だけでなくラ・カプカス村の2500人の住民全てに開かれており、子どもも小規模事業主もここで、宿題をしたり、情報を得たり、印刷をしたりしています。コンピューター室は、誰でも無料で使うことができます。

<診療所>

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人口2500人のラ・カプカス村の規模の地域に国が派遣する看護師は1人だけです。そこで、この村の診療所では協同組合がフェアトレードで得た資金を出して、医者ともう1人の看護師を雇い、医薬品やワクチンの購入、病院への搬送、そして妊婦健診の費用を負担しています。また、この診療所は病気の治療だけでなく、病気の予防や健康状況を改善するためのアドバイスもしています。これまでラ・カプカス村の住民は最寄りの病院まで1時間かけて行っていました。多くの住民は車を持たず、交通費を払う余裕もないからで、緊急の場合に手遅れになってしまうこともありました。この診療所は、多くの住民を助けることになりました。

<女性グループ:Flor del Campo

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コーヒー生産者の妻たちにも仕事を作りだそうと、2006年、6人の女性がFlor del Campo を立ち上げました。COCAFCAL のコーヒー豆の一部を煎り、挽き、袋詰めし、ホンジュラス国内で販売しています。現在28人の女性を雇っていて、そのうち2人はCOCAFCAL協同組合の従業員です。

彼女たちは、この事業の前に、ある開発援助団体が準備した養鶏プロジェクトを実施したのですがこれは失敗しました。そこで、今度は自分達のもっと身近にあるもので事業をしようと計画を立てました。

彼女たちがCOCAFCALに提出した計画は、仕事を始める女性のために、機械を貸したり、コーヒー豆の買い付けやその運搬用の小型トラックを購入するための資金を貸し付ける、というものです。彼女たちはCOCAFCALからコーヒーの加工や事務、経理、マーケティングなどの講習を受けました。For del CampoはCOCAFCALから原価でコーヒーを買って加工し、急速に事業を拡げ、今はホンジュラス国内の5か所で販売しています。ロサンジェルスにも人脈があるので、それを頼りに輸出も考えています。Flor del Campo の設立の中心となり経営しているのが、アイリス・ロペスさん (38歳)です。

彼女は次のように語っています。「私たちはとても苦労しましたが、子どもたちを学校に行かせることができるようになりました。ここで私たちに仕事を与えてくれるのはCOCAFCALだけです。」彼女は、グループの子どもたちに多くのチャンスを与えるためにも、このビジネスを更に大きくしたいという夢を持っています。

(翻訳協力: 東京YWCA 国際語学ボランティアズILV、呉みどり)

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