オイコクレジットのメキシコ担当マネージャーへのインタビュー
2016年7月4日
オイコクレジットのメキシコ担当マネージャー Carlos Rius氏にインタビューし、メキシコでのオイコクレジット活動やメキシコの投資政策にとって、信用組合との協働が重要になってきた経緯を伺いました。
メキシコでのオイコクレジット戦略とはどのようなものですか?
オイコクレジットのメキシコでの戦略の進め方は他に類がなく、たいへんな困難を伴うものでした。2011年にオイコクレジットはマイクロファイナンス・セクターから撤退し、信用組合という、さらに発達したセクターによる中小企業への融資へと戦略を転換しました。その主な理由はマクロファイナンスの金利が高いからでした。
私たちの最大の試練は、2011年時点で60%ほどを占めていたMFIポートフォリオの全てを使って、オイコクレジットがあまり知られていなかった新しいセクターへ参入したことでした。明確な選択基準を作って、メキシコで最も社会的に不利な立場にある地域に焦点をしぼり、信用組合による中小企業への融資に特化することにしました。こうした金融面での支援は、メキシコの経済的に恵まれない多くの人々の暮らしを支える零細企業や中小企業に直接影響を与えます。信用組合を支援することで、オイコクレジットは、メキシコで最も貧しい人々の経済状況を改善する手助けをしているのです。
信用組合とはどのようなものですか。また、マイクロファイナンス機関(MFI)とはどう違いますか。
マイクロファイナンス機関や中小企業銀行についてはみなさん聞いたことがあると思いますが、信用組合はあまりなじみがないかもしれません。信用組合も金融機関の一種ですが、少数の個人が所有する組織ではなく、組合員がオーナーでありまた顧客でもあるという構成をとっています。メキシコでは、全ての信用組合は法で規制されていて、要件を満たした個人経営や会社組織の中小零細企業に限って金融サービスを提供することができます。その組合員であり顧客である人たちが、それぞれの状況に即した貯蓄や金融サービスを受けられるように重点をおいて活動しています。
信用組合の哲学は組合員同士が助け合うことです。多くの組合員にとって、自分の預金が他の組合員の事業への融資に役立つことを知るのは喜びです。
オイコクレジットのパートナーであるCONCRECESは、メキシコの戦略の中でどのような位置づけですか。
CONCRECESは、メキシコで最も安定した信用組合の一つで、オアハカ州を中心に展開しています。オアハカはメキシコで四番目に貧困率が高い州で、2014年の貧困率は66.9%でした。また、経済成長は最も遅く、金融包摂の普及率が最も低い州でもあります。オイコクレジットにとって、正規の仕事の75%を中小企業から得ているような特定の地域での雇用を生み出し、低所得者や地域生活の質を改善し、また多くの人々の生活を支えている地域の中小企業に融資するために、CONCRECES支援は重要なのです。
環境問題はメキシコでのオイコクレジット活動でどの程度重要ですか。
オイコクレジット・メキシコは、金融機関も含むパートナーに炭素中立(カーボンニュートラル:二酸化炭素排出量が吸収量と等しい状態)の実践を促すことで、環境意識を高めています。二酸化炭素排出量の大小にかかわらず、私たちはこの問題をパートナーに提起します。次にはそのパートナーが自分たちの出資者に対しても同じような問題提起ができるようになります。そのために、私たちはカーボンニュートラルに関わるメキシコ最大手のNGOであるPronaturaと特別契約を強化して、二酸化炭素排出量を測定してそれを年間ベースで相殺したいと考える全てのパートナーに対して特別な条件を提示できるようになりました。
これからのメキシコでのオイコクレジット戦略はどのようなものですか。
ポートフォリオを強化しながら、社会の最貧困層の必要性(教育、健康、水など)に関わる信用組合や金融機関と共に活動を続けます。MFI分野についてはさらに戦略に磨きをかけて、金利の引き下げを確約する特定組織への支援を開始して、現在の市場パラダイム(枠組み)への挑戦の第一歩にしたいと思っています。
(翻訳:東京YWCA 国際語学ボランティアズ(ILV))