小規模農家を守り、レジリエンスを構築する（パート2）
2021年5月3日
食の安全確保を守り、農村の貧困とたたかうために、オイコクレジットは、「小規模農家のセーフティネット向上プログラム（SSNUP）というプログラムに参加しています。前回に引き続き、今回も、オイコクレジットのソーシャルパフォーマンス・イノベーション部のジン・レデスマ部長のインタビューの第二弾をお届けします。天候インデックス保険と価格変動リスクの管理プログラムがSSNUPにどのように貢献しているのかについて伺いました。
- SSNUPの目標を達成するためにオイコクレジットはどのような形で支援をしているのでしょうか？
オイコクレジットの協同組合から3つのプロジェクトプロポーザルがあります。一つは、アフリカ諸国における天候インデックス保険の拡大、次にアジア、アフリカ諸国における価格変動のリスク管理プログラムの拡大、最後に、マイクロファイナンス機関をパートナーとして彼らと共に農業経営におけるポートフォリオの拡大をしていく、という3つのプログラムです。これらの多様なアプローチを結びつけ、SSNUPに支援を行っています。
私たちにとって最も重要なことは、どのようにすれば私たちが、小規模農家に対して、多くの資金融資による解決方法を提供することができるのかということです。農業を営む過程においてリスクを抱えていること、遠隔地に住んでいる小規模農家ということを考慮し、資金サービスを提供していかなければなりません。すると多くの疑問が生じてきます。例えばどうすれば小規模農家が、融資を返済できるのだろうか？どのように支援をすれば良いのか？どのようにモニタリングをすれば良いのか？などです。都市部においても、マイクロファイナンス機関は、インフォーマルなセクターに対してビジネスが成立できるよう融資を行っています。農業セクターにおいて、それと同等のサービスとは何なのでしょうか？私たちの価格変動のリスク管理プログラムは、ラテンアメリカのコーヒー農家の協同組合向けに作ったもので、現在、ルワンダとウガンダにて採用しようと取り組んでいます。スペイン語でプログラム用の教材は、すべて英語に翻訳し直しています。加えて、コーヒー農家の協同組合の機能は、ラテンアメリカとアフリカでは全く異なります。
そのような条件の中で、プログラムを実施しているわけですが、既に準備と評価は行われています。コロナ危機が終われば、現地の協同組合に直接訪問することができ、組合員の農家一人一人の状況を調べ、彼らのニーズや強みや弱点などを調査することができます。そして、彼らの状況にカスタマイズした価格変動における対応方法とリスク管理に焦点を当てたトレーニングを提供することができます。そのプログラムの延長線上に、天候インデックス保険があります。これは、成長していく小規模農家へのサービスの一環です。
- 天候インデックス保険とは、どうすれば有効に働くのでしょうか？
この種の保険は、認識できる損害が発生した場合にのみ支払われるわけではありません。その代わりに、特定の農村地域においてどのような天候問題や被害が起こり、どのようなインパクトをその地域に与えるかなど詳細な分析が行われます。そして、実際に天候問題が起これば、どのような天候被害が起こり、地域にインパクトを与えているのかすぐにわかり、それに応じて農家が保険を請求することができます。長期的な天候状況のデータをベースに、天候被害による詳細なリスク評価が可能になるシステムのため、多くのコストが削減できます。このような保険商品を開発していくためには、確かな知識と現場での実証調査、計測実験、天候の情報収集をきちんと実施しなければなりません。また、米やとうもろこしなどの農作物ごとの指標も作成し、保険商品を作っていかなければなりません。農村にもデジタルのプラットフォームが必要です。それによりどの保険商品が自分たちに最適か見つけ出すことができるからです。
- SSNUPにおいては、どのパートナーとともにプログラムを実践しているのでしょうか？
価格変動のリスク管理プログラムにおいては、21パートナー団体とともにラテンアメリカと中央アメリカにてプログラムを実施しています。また、現在、アジアとアフリカのどの団体と実施すべきか調査を行っています。ルワンダにおいては、調査を終了し、パートナー団体の選別も終了しました。そこでは、このようなプログラムに精通したコンサルタントと協力していきます。農業のニーズと保険への取り組みは、特定の専門知識を必要とするからです。SSNUPは、インフラや政府の規制、国際貿易関係など、多くの外的要因や対応すべき要件に依存しています。私たちの仕事は、これらの環境に対して、円滑にプログラムが進められるようコーディネートして整備をしていくのみです。
- インパクト投資家は、このような小規模農家を支援するために政治的行動をすることができるでしょうか？
私たちのようなインパクト投資家は、陳情活動はできません。しかしながら、ポジティブな変化をもたらすことができる2つの全国的な組織があります。彼らは、国の助成金をもらっていて、活動も非常に活発です。農村の貧困には、天候や気候変動、最新のテクノロジーに対する教育や知識の欠如、マーケットや資金への不十分なアクセス、不平等な慣行など多くの要因があります。SSNUPは、これらの問題の解決方法をより多くの角度から見ることを可能にしてきました。このプログラムには、5つの世界最大級のインパクト投資機関が参加しています。一つの機関より、五つの機関がともに活動することで多くを達成可能にしています。フォーラムなどを実施しながら、知識や経験を共有し、様々な側面を通して、特有のゴールにたどり着こうと努力しています。コロナパンデミックにより、いつ達成できるのかは、わかりにくくなりましたが、今年度の下半期には、現場で活動が始められるよう期待しています。現在、計画と準備はできるのですが、ある時点では人々と直接的にコンタクトをとっていく必要があるでしょう。活動をスタート可能にするつもりで準備を進めています。計画と準備はできるのですが、直接的にコンタクトをある段階において実施していく必要があるでしょう。
Karongi Tea Factory
