オイコクレジット・ジャパンは、若手の支援ボランティアを育成するために、今年の2月に本部への短期インターンを募集し、選考の結果、谷口順一さんが選ばれました。6月1日から2週間強の間に活動された報告を、2回に分けてお届けします。
オランダ本部インターン報告 1
オイコクレジット(以下オイコ)オランダ本部オフィスでインターンとして活動しました、谷口と申します。今回はインターンの活動報告として、派遣期間中の6/1〜16の2週間強の内、前半週の内容報告をさせていただきます。
前半はオランダ本部オフィスにて、
1) オイコ本部各部署の業務内容を職員の方々からヒアリング
2) 日本における社会的投資活動を推進する為のプランに関するディスカッションを行いました。
(花王のオフィスが同じ建物に入っています)
(私が机をお借りしていたIR部(Investor Relations、投資家向け広報部)の一部屋)
各部署の業務内容ヒアリングでは、2) の日本での活動プラン策定に活かす事を目的とし、オイコの活動内容だけでなく、組織全体としての強みや課題の把握につとめました。
オイコの基本的な組織構造を大きく分けると、
・欧州を中心とした先進国の支援組織(以下SA: Support Association)や各国事務所(以下NSO: National Support Office)による社会的投資のプロモーションと投資家の斡旋を行うインフローサイド(Inflow side)
・受け取った投資をラテンアメリカ、アフリカ、東南アジア各国の再生可能エネルギーや農業分野のプロジェクト、マイクロファイナンス機関に投・融資を行うアウトフローサイド(Outflow side)
の二つに分けられます。下図のオレンジの矢印が、投資によるインフローの流れ、青い矢印がアウトフローの流れになります。
オイコ本部では投融資相手の事を「パートナー」と呼ぶのですが、利益を得る為の顧客ではなく途上国社会を変える上での相棒として社会的投資を行うオイコ独特の文化なのかも知れません。
本部のインフローサイドでは各地域における社会的投資の促進をサポートしている一方、アウトフローサイドでは、
・地域事務所/各国事務所と共に経営状況やプロジェクト運営状況をチェックし、融資を実行する融資部
・株式による投資を行うエクイティ部
・各国における社会的なインパクトの計測、パートナーの経営能力強化(キャパシティビルディング)をまとめるSPCA部(Social Performance & Credit Analysis)
等が中心的な機能を担っています。単なる融資だけでなく、必要に応じてキャパシティビルディングも手配する事で、パートナーが安定して利益を得ながら社会的なインパクトを生み出す手助けをし、さらに各パートナーの実績をしっかり計測する事でオイコの融資がどれ程の数の人々にプラスのインパクトをもたらしているかを把握している点は、オイコの確固たる強みの一つなのだと思います。
(キャパシティビルディングのディレクター、Gingさんと)
特に自分が興味深いと感じたのは、融資審議会に参加した際の議論の様子で、一般的な金融機関のように融資先の財務報告書に加え、ESG(Environment, Society, Governanceの略)スコアカードという評価手法を用いて社会的な側面からもパートナーの状況を見極める、非常に濃い議論がなされていました。
南米のとあるパートナーが新たに遺伝子組み換えと思しき技術との関係を構築した可能性があるのでは、という議論になった為すぐにペルーにある農業プロジェクトを専門的に扱う部署とSkypeを通じて改めて会議を開き、その確認を現地のマネージャーに取っており、物事の運びがスピーディーな部分が欧米的だと感じました。(ちなみに現地への確認の結果、懸念されていたパートナーは遺伝子組み換え技術とは関係がありませんでした。)
(ペルーオフィスとのオンラインミーティングの様子)
これまで一度も元本割れを起こさずに約2%の配当を出してきたオイコですが、この様にパートナーの経営状況と社会的な側面の両点に常に配慮する仕組みを持っている事がその力の源泉とも言えるでしょう。
<2に続く>