より良い未来のための金融サービス
2014年4月
ファイナンス・トラスト銀行は、ウガンダのマイクロファイナンス銀行で、オイコクレジットのパートナーでもあります。女性への金融サービスを提供するために、1984年に設立されました。この銀行は、ウガンダの女性が男性に比べて経済的に弱い立場にあるのは、金融サービスが利用できないことにあると考えた女性たちによって設立されました。現在、ファイナンス・トラスト銀行は20万人以上の顧客を抱えており、その多くが女性です。この銀行の最高経営責任者であるAnnet Nakawunde Mulindwaさんに、銀行の歴史と、30年にわたりどのように女性のエンパワーメントを続けてこられたかについて、お話をお聞きしました。
ファイナンス・トラスト銀行最高経営責任者(CEO)Annet Nakawunde Mulindwa。
ファイナンス・トラスト銀行は、ウガンダにおける最も古いマイクロファイナンス機関の一つで、女性の自助グループに近い形で始まりました。銀行の歴史と、銀行が長年にわたって社会に与えた影響についてお話し頂けませんか?
「ウガンダでは、女性が金融サービスを受ける手段がありませんでした。そのため、私達女性の創設メンバーは、自分たちが貯めた少額の資金を持ち寄り、貧しい女性のグループに対して融資を始めたのです。何年もの間に銀行は拡大し、様々な変容を遂げ、男性も顧客とするようになりました。しかし、低所得や中所得の女性への金融サービスが中心であることに変わりはありません。女性のエンパワーメントという使命を維持するために、全顧客の少なくとも60%以上を女性とすることを定めています。」
ファイナンス・トラスト銀行は、預金口座や教育ローンなど、様々な商品を提供しています。新しい商品はどのように開発されるのですか?
「まず第一に、私達の商品は需要主導型だということです。私達は、顧客がどのような商品やどのような条件の融資を希望しているのか、ということに耳を傾けます。また、顧客のニーズを把握するために市場を調査し、顧客のニーズに合う商品の開発を行っています。例えば、農業者は種を買うための融資を受けても、すぐには返済ができません。そのような場合、返済の条件を柔軟なものにするのです。」
ファイナンス・トラスト銀行が一から立ち上げた金融商品の例を、ご紹介いただけますか?
「まず思い浮かぶものに『ママ安心預金』というものがあります。この商品は、女性が直面する全ての問題を検討し、私達がどのようなサポートをすることができるか考えた結果生まれました。女性には安全に出産する場所が必要であり、保健医療はウガンダの重要な課題の一つです。ですので、私達は預金とクレジットと保険を組み合わせた商品を開発しました。健康保険は年間約150米ドル程度かかり、保険料は保険会社に対して一括で支払わなければなりません。しかし、多くの女性は保険料を一括払いできないことがわかりました。そのため私達は、女性が保険料を一括で支払えるように150米ドルのローンを開発し、それを半年、または1年かけて、少しずつ返済すればよいようにしました。」
ファイナンス・トラスト銀行には、少女のための特別な預金商品があります。なぜ、この商品が重要なのでしょうか?
「ウガンダでは、高い確率で若い女性の妊娠や性的暴行が起きています。また、多くの少女が、何の資格も取得せずに学校を中退しています。更に、12歳以下の少女が結婚したり、14歳までに出産したりすることが珍しくありません。ですので、私達は、若い少女たちが今後直面するかもしれない困難に備えるための商品を開発しました。私達の顧客には、10歳から18歳までの少女が5千人もいます。こうした少女たちのために、私達の銀行の支店には彼女達がスタッフと同じ目線で話せるように、段差を設けたカウンターを設置しています。私達は、彼女達には融資はせずに、預金口座のみを提供しています。また、基礎的な金融知識や保健問題、起業家精神についての訓練も行っています。更に、年に1度、彼女たちを一同に集めた会合を開くよう努めています。」
ファイナンス・トラスト銀行は、2004年からオイコクレジットのパートナーです。
(翻訳協力: 東京YWCA 国際語学ボランティアズILV、Y.Suzuki)