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マイクロファイナンス・カフェ2「MFをどのように支援するか」ご報告

マイクロファイナンス・カフェ2 「MFをどのように支援するか」ご報告

(2015年7月26日(日)13:30-16:30  目黒区心身障害者センターあいアイ館)

 

第2回目のマイクロファイナンスカフェ、今回は「マイクロファイナンス(MF)をどう支援するか」がテーマだったので、援助機関やコンサルタントの方にも参加頂き、いろいろな議論ができました。今回は、運営委員の粟野が発表した後に、本部でインターンをされた谷口さんに本部での取組みの様子を紹介して頂きました。

mfcafe2_1 「投資機関に求められるもの」を説明

mfcafe2_2 谷口さんによる発表

主な議論をご紹介しましょう。

  1. 社会的ミッションと収益の両立
    1) MFサービスが拡大する中で、社会的リターンと収益を両立させるためには、MF機関も支援機関も、貧困削減へのビジョンを見失わず、且つ健全な財務・経営を保つことが必要。
    2) オイコクレジットの場合、次の取組みを実施
    ・ MF機関を審査する際に、環境・社会・ガバナンス(ESG, Environment, Society, Governance)の観点からESGスコアカードを使って評価
    ・ MF機関が社会的な業績を管理(Social Performance Management, SPM)できるよう指導
    ・ MF機関がPPI(貧困脱出指標, Progress of Out of Poverty Index)を用いて貧困層への効果を評価できるよう訓練
    ・ 貧困層のニーズに合った商品開発(預金、積み立て、保険加入など)や商品の改良(融資条件の緩和や返済期限・回収の対応を柔軟化など)
    3) 上記の取組みをする上でのオイコクレジットの対応
    ・ オイコクレジットの延滞率はMFで10%以下だが農業では20%くらいと高い。しかし、不良債権の引当を厚く積んでいて、リスクのある農業にも投資できている。これまで出資者に対して元本割れをしていない。
    ・ オイコクレジットは職員数250人と他の運用機関に比べて多く、きめ細かいチェックやモニタリングができる。2%の配当を安定して出しているが、これは他のファンドに比べると低い。その分の収益を、上記のきめ細かな審査や能力強化に活用し、小規模な機関への投資も可能にしている。
  1. 金融サービスのアクセス拡大
    1) 中東・北アフリカで金融口座を持たない人の割合が低い。イスラム圏で金利を使う通常の金融への抵抗がある他に、制度的枠組みが弱いことが理由と言われている。
    2) オイコクレジットも、アフリカへの拡大を進めているが、小規模な融資・投資が多いため、投資額の割合はあまり増えていない。今後は農業や環境への投資を拡大する予定。
    3) 貧困層でも安全なところに余剰資金を保管したいという預金のニーズは高い。預金通帳をMF機関が預かる場合もある。
    4) グループ連帯保証の場合に、最貧困層が排除される問題はある。これについては、MF機関が同様の所得水準のメンバーでグループを構成するように指導するが、限界も。最貧困層にはMF以外の支援が効果的な場合も多い。また、返済できない仲間へ嫌がらせをするという事例も報告されている。グループ内で成功した層とそうでない層とができ、成功した層がより多くの融資を得たいと思っても他の仲間がそれを保証するのを嫌がるということは多い。このような事情もあり、グループで返済などの集金はしても、連帯保証はしない個人融資に移行するMF機関が増えている。
    5) フィリピンの農業では、仲買人との長期の関係がMFのアクセス拡大を阻む原因となっている。協同組合が構造を変革した成功例もあるが、仲買人から搾取される関係を変えるのは、既得権益に絡むため非常に難しい。フィリピンのCARDが行っているように、少額融資から始めるような取組みが現実的か。
    6) 環境事業(森林保護、植林、水源確保)への資金提供、資金調達
    ・オイコクレジットも、農業組合に対して水源確保のための植林を支援した例がある。農業組合の返済のための財源は、組合の生産・販売事業による収益から出されているはず。オイコクレジットは、この他に水力発電などの再生エネルギーにも投資しており、専門家を雇用している。
    ・政府による資金の供給手段には、携帯電話を使った口座開設、郵便局や代理店の利用が考えられる。これらによって、不正が減ったという報告もある。
  1. 顧客中心の商品開発
    1) 顧客中心の商品開発により、MF機関の収益性や持続性が脅かされる可能性
    オイコクレジットの支援例では、融資条件や返済回収を柔軟にすることで、むしろ返済率が向上している。商品開発のプロセスでは、試行して収益性や効果を確認してから実施して、そのようなリスクを回避している。
    2) 農業融資のニーズは高く、商品開発への支援が求められている。農民のニーズやキャッシュフローを分析し、コストを回収できる利率の設定など金融商品として成り立つものを設計する。
  1. 社会的インパクトの評価
    インパクト評価には長期的な取組みが必要。大学などと連携して長期でインパクトの評価やフィードバックを行える体制を整えていけないか。
  1. 資金調達の問題―啓蒙活動の活発化
    MFの拡大や能力強化には、民間からの資金調達も重要。MFを理解する支援者を増やしたいが、欧州に比べ日本では社会的投資が浸透していない。国・地域での啓蒙活動が必要
    1) 社会的投資の意義を確認(自分の資金がどのように運用されているかを知る。日本でも始まった銀行の取組みを評価するフェア・ファイナンス・ガイドなどの活用)
    2) オイコクレジット・ジャパンも、ESG評価や社会的業績管理やPPIの指導などの取り組みをもっとアピールすべき。
    3) MFへの理解を深めてもらうため、インパクトの評価や内容の開示、最終受益者の生活の変化や様子を報告
  1. 民間リソースの導入・活用や多様なアクターの参入
    1) 民間資金のMF参入による課題
    収益を重視するMFファンドが一部の地域やMF機関に資金を集中させ、MF機関も無理な成長を目指して貧困層の過剰債務が増えるという問題があった。現在、MFファンドは100くらいあるが、ファンド運用機関の中には、社会的な影響をモニタリングしようと社会的業績の報告書を出すところも増えてきた。
    2) 日本では、大和証券やLiving in PeaceがMFファンドを販売している他に、パチンコのマルハンがカンボジアでMF事業を始めた。JICAの支援は、プロジェクトの一部でMFを導入している場合が多い。

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